大人な音楽家、KAN。
デビュー後、ヒットに恵まれないながらも
徐々に実力を発揮し、ラジオ曲や
漫画などに認められつつあった時代の作品を
振りかぶってみよう。
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03 GIRL TO LOVE おすすめ度 ★★★★★
☆は「敢えて3曲挙げるなら」選曲
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デビューから1年で3枚のアルバムを出すことを目安に
1988年6月にリリース。
このアルバムから本格的に作詞の曲が増えてくるし、
そのためか現在もライブで頻回に披露する曲が多くなる。
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1曲目「適齢期Love Story」はその最たるもので、
KANのライブではほぼアンコールで演奏されるロックナンバーだ。
たぶん24時間テレビの中で中村雅俊と一緒のライブがテレビで披露され、
亀田のあられおせんべいバージョンが
ライブアレンジの一般公開の初回ではないかと思う。
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サビの部分が最初「チェギラギロン」としか聞こえず
何を歌ってるかわからなかったが
歌詞カードを見て納得する曲の一つでもある。
.2曲目「君はうるさい」はコミカルでありながら
音楽性は高いという今に通ずる最もKANらしい曲。
曲の出だしの歌詞もインパクト抜群で
コーラスワークのアレンジも秀逸。
間髪入れずに「いっちょまえに高級車」も同じ路線だが、
大サビでピアノ弾きらしい展開を見せるのが印象的だ。
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続く「フランスについた日」は個人的には好きな曲だが、
リアルタイムで友人たちからは同調されなかった曲。
その意味では「テレビの中に」の「MEMORIES OF FUTURE」な位置付けだ。
もともとがシングルのカップリングであり、
後に「まゆみ」でもカップリングとして
ピアノアレンジでやっぱり名曲だと陽の目を浴びる。
.「WAITING SO LONG」は様々に展開するバンドらしい曲で、
ピアノを効果的に聴かせるかと思いきや、
後半のフェイク部分も楽しい。
「東京のお嬢さん」はこれまたハイセンスなコミカルチューン。
Bメロのメロディライン、サビのコーラスワークがなんともよい。
.シングルの「だいじょうぶ I'M ALL RIGHT」はアルバムに1曲入るビリー・ジョエルもの。
Aメロからいきなりサビへ突入する
スピード感のあるサビの展開がキャッチーだ。
「恋はTONIN'」も勢いのあるハイセンスコミカルな楽曲で
後半には歌詞カードをみてやっとわかる空耳ゾーンも存在する。
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「言えずのI LOVE YOU」も当初からファンに人気の高い楽曲で、
ミスチルの名曲「over」が 「2ビー卜でKAN」という仮タイトルであったことも有名だ。
なお、この曲はちょうどリリースと平行して
少女漫画「ハンサムな彼女」の4巻の中の番外編「Kenji」の中で
話題になっていたそうだ。
昔のコミックは今では電子書籍でも読めるので、
興味があればどうぞ。↓
.アルバムは最後にタイトル曲「GIRL TO LOVE」という
クラシカルなバラードで締める。
美しいどこか和風のメロディラインに
弦楽器が効果的に重なる壮大さで、
最後に素敵なバラードという展開も
このアルバムから本格的になる。
.捨て曲なしの全10曲。
いい意味で垢抜けた初期のKANの名作で
セールス的にもっと売れてもよかったのではと思うアルバム。
文句無しにおすすめだ。
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オススメ楽曲を敢えて3曲挙げるなら…
10 GIRL TO LOVE
03 いっちょまえに高級車
06 東京のお嬢さん
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04 HAPPY TITLE -幸福選手権- おすすめ度 ★★★★☆
☆は「敢えて3曲挙げるなら」選曲
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前作から約1年、1989年6月リリース。
この間に一時はファンの中で都市伝説化したシングル「over you」、
カップリング「NEVER LEAVE」ともにアルバム未収録だった。
(現在は後日発売の「Songs out of bounds」で補完可能)
先行シングル「東京ライフ」を引っ提げており、
後に「REGRETS」がシングルカットされる。
(この2曲はいずれのカップリングもアルバム5ー6曲目に収録)
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アルバム全体としては「GIRL TO LOVE」に比べると
極彩色でない、茶紫なイメージの10曲で
横文字タイトルの曲が目立つ。
個人的には英語の勉強にも一役買ったアルバム。
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1曲目の「UNIT OF SOCIETY」はKANの中ではメロディ展開が珍しい曲だが、
よく考えると後のperfume路線曲に通ずるものがありそうだ。
続く「OLD FASHIONED GIRL」は出だしのメロディの「Girl」にあたる 臨時記号が癖になる。
この曲をきっかけに臨時記号の入らないメロディは子供っぽい、と
思い込んでいた中2の自分が懐かしい。
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「Regrets」は当時FM802という大阪のFM局で
ヘビーローテーションとして、どの番組でも1回はかかる状況となり、
ステッカーを集めてるようなFMマニアの中では
そこそこの知名度を誇った曲。
曲的には1枚に1曲のビリー・ジョエルもの。
弾き語りアルバムでも「アレンタウン」と連続して収録される。
この曲もエンドレスメロディであると同時に
中盤が臨時記号の嵐で耳に楽しい。
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「GO PLAIN」は中学時代にすごくカッコよくて気に入ってた曲。
イントロのフレーズがサビの時に重なるのに
おお、と感動したりしてた。
「君から目がはなせない」は「愛は勝つ」同様の
四分音符サビメロが印象的。
「ALL I WANT IS YOU」は、どうしてここに「IS」が入るかについて考え、
中学生の関係代名詞の理解に役立った曲。
曲は大人なバラードで中坊には難しかったが、
「君の細い髪がうっとうしいくらいにーーいーーーーーーー」のところが
女性の長い髪がまとわりついてる感じがしてよいと感じていた。
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「FOREIGNER」の歌詞はなかなか深く
人間関係でうまく行かなかったときに
その嘆きのようなメロディととても染みる。
「REAL REACTION」はサビで臨時記号が効果的に使われ
このアルバムで最初に好きになった曲。
「A MAN IN DISSATISFACTION」では
辞書を引いても単語の意味がわからず
英単語に「Dis」がつくと反対の意味になることを学んだ曲。
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最後は素敵バラードの先行シングル「東京ライフ」。
難しいピアノ前奏を練習しまくって弾けるようになったと思ったら
後に変ロ長調バージョンが主流になってしまった曲。
なお、この曲も「ツルモク独身寮」の7巻で
田舎から上京した男が泣く泣く田舎に戻るシーンで効果的に使われていたそうだ。
同じく電子書籍で見ることもできる。↓
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初めてシングル曲を2曲含むアルバムで、
捨て曲なしでアルバム全体のまとまりもよい。
もう少し評価されてもよいアルバムだ。
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オススメ楽曲を敢えて3曲挙げるなら…
03 REGRETS
10 東京ライフ
04 GO PLAIN
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KAN を集める バックナンバー
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