おとななアーティスト、KAN。
「愛は勝つ」の大ヒット後、
オリジナルアルバムを経て、初のベスト盤、
そしてファン人気の高い名盤「TOKYOMAN」までの
アルバムを振り返ってみよう。
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B1 めずらしい人生 おすすめ度 ★★★★★
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1992年1月の先行シングル「こっぱみじかい恋」を経て、
2月に発売されたKAN初めてのベストアルバム。
個人的に人生で初めて購入したCDでもある。
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6枚目までのアルバムからバランスよく選曲された。
当初は「1989」とか「適齢期」といった曲が入ってない!
と思っていたがじっくり考えると
よくよく考えられた選曲だな、と思う。
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このCDだけに収録されているのは
タイトル曲「めずらしい人生」と
シングル「恋する気持ち」「こっぱみじかい恋」と
ピアノ1本弾き語りとなった「東京ライフ」と4曲もあり、
オリジナルアルバムを全部持ってるファンも入手すべきと言える。
実際、発売当初はKAN自身も「めずらしい人生」1曲だけのために
アルバムを買っても絶対損はしない、と話している。
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その「めずらしい人生」、
曲は「愛は勝つ」「インザネイムオブラヴ」と同様に
前奏でオクターブ弾きのピアノが前面に出た8ビートロックで、
後奏部分ではピアノはキラキラに唸る佳曲。
歌詞は特に最後のフレーズは中学生当時はピンと来なかったが
大人になった今ならグッと来るものがある。
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その「めずらしい人生」を1曲目におき
初期のアルバムからの2ー5曲目、
このCDにしか収録されない6ー8曲目、
「愛は勝つ」を含むエンドレスメロディ佳曲が並ぶ9ー11曲目。
デビュー曲を経て、最後は「永遠」。
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ベストアルバムと言う位置付けながら
コンセプトを感じる曲順であり
ジャケット写真も格好いい。
コアなファンはあまりベスト盤は聞かないものかも知れないが
このアルバムは別格、おすすめだ。
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07 TOKYOMAN おすすめ度 ★★★★★
②まゆみ(シングル)
③香港SAYONARA(ボサノバ)
④Moon☆
⑤君がいなくなった
⑥孔雀(踊)
⑦day by day☆
⑧TOKYOMAN(ビリー)
⑨死ぬまで君を離さない(シングル)
⑩KANのChristmas Song☆
(カップリング・アカペラ)
☆は「敢えて3曲挙げるなら」選曲
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ベスト盤「めずらしい人生」を経て
ファン人気の高い「言えずのI LOVE YOU」をシングルで3月に発表。
アレンジでストリングスが加わり、
こちらの方が好みだった。
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そのカップリングの「Day by day」が名曲で
これ、もしかしてカップリングだけで埋もれるの? と
心配されながら、同年10月に「死ぬまで君を離さない」をリリース。
バラード曲で真価が問われたが、
カップリングの「KANのクリスマスソング」の方がフィーチャーされ、
「プロポーズ」に続いて?な展開となった。
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1993年1月に先行シングル「丸いお尻が許せない」を発表。
音楽番組で披露するなかで賛否両論を浴びる。
(少なくとも私の友人関係では)
ちなみにこのカップリングの「Long vacation」は
スケールの大きなメロディラインの佳曲で、
個人的には毎年夏休みになると初日に頭に流れるメロディだ。
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そんな中で1993年2月にリリースされたのがこの「TOKYOMAN」。
7ジャンルズ10曲入りのノンフェイドアウトアルバムだ。
ベストアルバムかというくらい名曲揃いの名作。
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1曲目はシングルカットの「丸いお尻が許せない」。
「愛は勝つイメージ脱却キャンペーン」として
性欲の歌として堂々と公言した楽曲。
ブラスの絡みがよい分厚いサウンドのポップであるが、
歌うとどこで息継ぎするのかわからないサビで
各音楽番組で披露してても歯を食いしばって歌ってる様子も見られた。
最後のコーラスでのタイトルフレーズ連呼も
非常に音楽的でふっきれた感じで楽しい。
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続く「まゆみ」はKANの代表曲として
「愛は勝つ」に次ぐ地位を獲得している。
前半部分のウィットな部分から
サビで一気加勢するクラシックロックで、
ラジオでかかるとサビでボリュームを絞られるのを
何度も体験してきた。
さらに「人は誰もみな」以後の部分が
下手するとオンエアされないこともあったり。
そんなラジオ向けでない楽曲であるが、
大サビ部分の盛り上がりは圧巻で、
一度生の弦をバックに聞いてみたいものだ。
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続くボサノバ「香港SAYONARA」は直近のライブでは
アコースティックコーナーで披露される。
「雲が赤く染まり」の「か」のコードが最高に気持ちいい。
「Moon」もファン人気の高いバラード。
出だしのメロディは結構定番で「夏の日の1993」とかも同じ。
しかし臨時記号フックを経て、
Bメロの同音連打メロディは
ありそうでなかったように思われる。
サビはサビでオクターブをきれいに下がるメロディ。
意図的な遊び心なのかどうか。
そしてなんといっても大サビのどんどん上がるサマは圧巻。
ライブでは「孔雀だもの」のバージョンもよいし、
ASKAとのバージョンも必見だ。
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続く8ビートのお手本のような「君がいなくなった」は
3コーラス目のストリングスがかっこいい。
そして嵐のような論議を巻き起こした「孔雀」。
ジュリアナ・ディスコをイメージしたド派手なシンセに
ディスコナンバーでありながらピアノが効果的に響く。
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そして無事アルバムに収録された「Day by day」。
メロディは臨時記号の嵐のような名曲バラード。
「TOKYOMAN」はアルバムに1曲の超ビリー・ジョエルもの。
サビではやはり臨時記号の嵐を聴かせる。
アルバムは「死ぬまで君を離さない」「KANのクリスマスソング」と
シングル曲のA面B面で締める。
「クリスマスソング」は漫画「YAWARA」でクリスマスの時期に
柔道やめる宣言した猪熊と待ち合わせしたが、
一旦すっぽかされた松田がバスに乗った猪熊と会うシーンに
ピッタリだと思った。
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7ジャンル10曲ということだけど、
恐らく「Moon」と「Day by day」は同じジャンルかな?
「香港」と「孔雀」「クリスマスソング」はどう考えても独立ジャンルで、
たぶん「まゆみ」「TOKYOMAN」も独立ジャンルだろうか。
すると「お尻」と「君がいなくなった」がジャパニーズポップス的ジャンルで
「死ぬまで」もバラードジャンルに入る?
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そんなわけで、捨て曲なしの10曲。
アルバムとしてのまとまりはないかも知れないが、
名曲揃いの名盤なのは間違いない。
セールスとしては同じ時期発売の
SING LIKE TALKINGの「ENCOUNTER」や、
accessのアルバムにも負けてしまったものの
今聴いても新しい、そんなアルバムだ。
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おすすめ楽曲をあえて3曲挙げるなら...
(シングル曲は省きます)
07 Day by day
04 Moon
10 KANのクリスマスソング
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