おとなの青春時代の憧れ、谷村有美。
アナログ版続々リリースで界隈を賑わせているが、
35年前のアーリー時代3作目のアルバム「Hear」をレビューしよう。
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03 Hear おすすめ度 ★★★★★
☆は「敢えて3曲挙げるなら」選曲
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前作からわずか1ヶ月で1988年10月シングル「Boyfriend」
(カップリングは「朝は朝嘘は嘘」)
1989年4月はシングル「がんばれブロークン・ハート」
(カップリングは「Tonight」)
を引っ提げて同年6月リリースした3作目。
さらに7月にはシングル「明日の恋に投げKISS」
シングルカットと、レコード会社共々、
力を入れて売り出しにかかっていたことがうかがえる。
カップリングは本作か前作に収録済みだ。
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冒頭スナップ音から始まる「明日の恋に投げKISS」 。
ノリノリのアイドル感なナンバーだが
なんせ本人作曲のバリバリ感。
サビの最後のリフレインでの
「愛せそうぉ~」の包み込む感じに
最高にハマった中坊時代。
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「タペストリー」から「生まれたての朝」と続く
英語のコーラスで耳に心地よい雰囲気を作るのもお得意で、
アルバムに一作の、耳に清涼コーラスソング。
後の「愛は元気です。」で昇華する予定。
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一転ミドルバラードの「ボンネットに太陽」 では
サビ部でお得意の超高音フレーズを聴かせる。
これがなんというか、声量マシマシでどうだ!、という高音ではなく、
か細いけどピッチを保つ感じのところが
ファン目線で最大の魅力だろうし、
曲想にもそれが合っている。
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先行シングル「がんばれブロークン・ハート」 は
ファン人気の高いポップチューン。
サビフレーズと歌詞のベストマッチで、
ちょうど呼びかけるスタンスになるところが良くて、
24時間テレビの応援ソング的に中坊時代の応援ソングだった。
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超充実の前半3曲に続く「傘を持ってでかけよう」は
ミドルテンポポップで、
サビ部にちょくちょく乗っかるシンセの
ワッパッパー、な音が印象的だ。
有美さんの曲にはこの曲に限らず
雨の歌が多いが暗くならず明るく歌い遂げる、
まさに、なんて素敵。
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自身作曲のシングル「BOY FRIEND」 は
分かりやすいサビのメロディが印象的なポップソングだが、
個人的には前半部で「ジアスターゼに」と空耳してしまうところが
中学生の頃からずっと記憶に残る。
(昔西武にいた外国人デストラーデを
父親がジアスターゼ、と呼んでいたので
小学生から馴染みのある単語だった)
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当時の水曜DJをやってた関西ローカルFM番組で
エンディングになってた「HALF MOON」 はファン人気の高い楽曲。
サビのメロディパターンが押し付けがましくなく、
締めの着地部分から大サビへの展開がよい。
前作の「Tonight」のような中毒性を持っているバラード。
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前作最終曲「恋をしなさい」の短調ピアノ弾き語り曲の続編にあたるものの、
「恋をしなさい」「もう恋は。」と
タイトルを並べると会話のようになるのも素敵な自作曲「もう恋は。」 は
弾き語り楽曲としてより洗練され、
後期の曲想も彷彿とさせる。
アイドル的人気を誇りながら自作曲で
こんな曲も歌うところがまた魅力だ。
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アルバムは一転アップテンポ曲の
「HELP」 、「2人はいきなり」 で後半を彩る。
「ガラスの午前4時」路線のロックチューンで、
ライブで映えた楽曲。
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締めの「ポストカード」 は穏やかな曲想で
シンプルに作られた口ずさみ系癒しソング。
バカンスのスで伸ばすところがさらに癒し感。
メールかラインかの令和時代からすればとても新鮮なワードだろう。
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なお、この頃NHKみんなのうたで、
「かおりちゃんタイム」を歌っている。
作曲は西脇辰弥氏でコミカルで有美さんの高音ボイスも聴ける。
サブスクはないが、こちらのCDか、某動画サイトなら!
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アーリー谷村3部作の完結篇として、
シングル曲もたくさんで華やかな印象のアルバム。
ジャケット写真もどこか垢抜けた感じ。
当時ハマったおとななら老後の楽しみに備えて
是非とも入手できるうちに入手しておきたいし、
若い人にも平成元年作品として新鮮に聴いていただきたい。
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おすすめ楽曲を敢えて3曲挙げるなら...
(敢えてシングル省きます)
06 HALF MOON
02 ボンネットに太陽
07 もう恋は。
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