おとななソロアーティスト、ASKA。
今回は前作から連発でロックな世界を堪能できる
1998年3月発表のソロアルバム「kicks」をレビューする。
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05 kicks おすすめ度 ★★★☆☆
☆は「敢えて3曲挙げるなら」選曲
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前作からほぼ1年、シングル「girl」(カップリング「花は咲いたか」)リリース直後、
1998年3月発売の5枚目。
前作同様、 怪しげなロックスタイルを貫いている。
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それは1曲目の「No Way」から鮮明に出ており、
ボーカルの怪しげな雰囲気と共に異色の世界に引き込まれる。
ちょうどうっそうと生い茂った森に侵入するように、
ちょっとだけの勇気を持って聴き進める。
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シングル曲「Girl」はイントロの印象的なギターフレーズに導かれ、
少しだけキャッチーなメロディながら、
怪しげな雰囲気はそのまま引き継がれる。
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そして、それは3曲目「Now」でさらに加速される。
シングル曲候補にもなっていたというから、
このアルバムはこの路線で行くことが前提だったのだろう。
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ようやく4曲目「In My Circle」でほっと一息、
ミドルテンポで展開する曲で安堵感はあるが、
まだ少し怪しげ路線を踏襲しており、
ここからまた前半と同じ系統の楽曲が続きそうな雰囲気もある。
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語りかけるようなバラード「遊星」は、
甘いASKAの声が活きるようやく待ってました感の楽曲だ。
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怪しさから解放されたわかりやすい8ビート楽曲「馬を下りた王様」でまた一息つく。
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「同じ時代を」もAOR様の雰囲気だが、キャッチーさよりも老獪さが際立つ。
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むしろサビのメロディがキャッチーになり聴きやすくなる。
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最後にまた怪しげな「Kicks Street」は
アジアの露店通りのような雰囲気を思い出す独特な雰囲気の楽曲。
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最後を飾る「花は咲いたか」はこのアルバム内では、
Bメロ~サビへの流れが自然につながる佳曲だ。
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全10曲、8ビートやバラード曲もあるものの、
全編とも雰囲気はロックなスタイルだ。
柔らかな雰囲気を期待して聴くと面食らってしまう。
でも、それもまたASKAだ。
何かに悩んでいた時期なのか、
その葛藤が全編にわたって表現された生き様を
心して聴くべし。
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おすすめ楽曲を敢えて3曲挙げるなら...
05 遊星
10 花は咲いたか
08 Tattoo
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B1 ASKA the BEST Selection 1988-1998 おすすめ度 ★★★★★
それまでのソロ10年分のベスト。
おおまかに代表曲が網羅されている。
シングル「ONE」のカップリング「着地点」だけがアルバム初収録だ。
(代わりに「ONE」は収録されていない)
ASKAのソロ前半をダイジェストで振り返るのに打ってつけだ。
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バックナンバーはこちら
ソロ・デビューのsceneは今でも伝わりますか? ~ASKAを集める① - おとなの自由研究
はじまりはいつも雨だけれど空は青~ASKAを集める② - おとなの自由研究
晴天を誉めるなら夕暮れを待て~ASKAを集める③ - おとなの自由研究
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