おとなな男性邦楽ソロアーティスト、KAN。
名作だった前作TIGERSONGWRITERを経て、
ミレニアム前年の活躍っぷりを見てみよう。
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12 KREMLINMAN おすすめ度 ★★★★★
②Solitude☆(隠れた名短編)
③Rock'n Soul in Yellow☆(ロック)
④Happy Time Happy Song
(シングル)
⑤50年後も☆(名バラード)
⑥WHITE LINE(ヘビー)
⑦英語でゴメン(シングル)
⑧車は走る(マッキー)
⑨紅のうた
☆は「敢えて3曲挙げるなら」選曲
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「Song of Love(英語版)」を意識したと思われるシングル
「英語でゴメン」を1998年9月にリリースし
(カップリングはサンクトペテルブルグのライブ)
1999年2月に先行シングル「Happy Time Happy Song」を経て4月発売。
なおこのカップリングはあの伝説の
ハイビジュアルバンド、ボンマルシェの「女神 VENUS」である。
なかなか入手は難しいので
機会があれば手に入れておきたい。
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全体にロシアを意識したロック色強めのアルバム。
1曲目のタイトルに早速反映される「ロック試練の恋」。
スケール感のあるイントロに、
4度飛びを多用した印象的なAメロで始まる。
サビの部分にはオクターブ弾きピアノが効果的に使われる
青々しいロック。
そのまま連続するように「Solitude」。
今度は9thな進行で始まりそれがナイス。
短編ながらしっかりした主題のメロディも備わった佳曲だ。
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さらに連続するように「Rock'n Soul in Yellow」へ続く。
ビリー・ジョエルの「Ain't no crime」のようなかっちょいいピアノフレーズに始まり、
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ギターがむせび続けるヘビーな赤いロック。
メロディラインもBメロの進行がとてもよい。
そして2コーラス目後には急に青い雰囲気になり、
ピアノ四分打ちで第3の進行を見せる。
ここのメロディラインもスケール感たっぷりだ。
そしてドラムのみでの遊びのような部分を挟んで、
ギターソロという圧巻ロックの展開を見せる。
この曲が本アルバムのハイライトと言ってもよい力作だ。
ちなみにyellowはたぶん「臆病者」の意味で使ってるのかな?
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続くシングル「Happy Time Happy Song」は
ポップなメロディラインもさることながら、
アレンジで魅せる。
2コーラス目の「真っ青」では
チャゲアスの「SAY YES」と同じ音なため、
テンポまでゆっくりして合わせるという品のよさ。
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素敵なバラード「50年後も」は
スティーヴィーワンダーの「STAY GOLD」を
思わせる進行とスケール感で魅了するが、
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個人的には最後に最初のメロディを繰り返す展開そのものと、
「笑ってるかな」の「わ」の音が好き。
ライブでも最終曲によくセレクトされ、
きっと本人の納得度が高そうな楽曲。
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「WHITE LINE」はまたしてもロック色の強い交通違反ロック。
音のスケールにそぐわないみみっちい歌詞を
敢えて入れ込むセンスに脱帽だ。
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シングル曲「英語でゴメン」は繊細なメロディに、
サウンド全体がキラキラ輝いており
ヘッドホンで聴くのに適した
アレンジで聴かせるミディアムナンバー。
でもシングルとしてはやっぱり
ちょっとインパクトがほしかったかも。
いい曲なのは間違いないんだけど。
シングルは「50年後も」がよかったんじゃないかと思う。
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槇原敬之を全面リスペクトした
「車は走る」ではウルトラポップ路線で、
歌い方もなんだかノドを開いて歌ってる感ありありで
思わずニヤニヤしてしまう。
最後を締める「紅のうた」は、
サウンドトラックのようなスケールのある楽曲で、
徐々に徐々に盛り上がっていく様子は
前作の「Song of Love」の発展系かも知れない。
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曲数は確かに少ないが、
これまで見せなかったロックテイストの曲に、
王道のシングル、そして素敵なバラードに短編佳曲。
いつもながらのバラエティに富んだ力作だ。
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おすすめ楽曲を敢えて3曲挙げるなら...
(敢えてシングル省きます)
05 50年後も
03 Rock'n Soul in Yellow
02 Solitude
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